今更ながらプロメアを観にいってきました。今はもう4DXでしか上映していなかったので、選択の余地なく4DXにしましたがこれが大成功でした。
全体の感想
最高すぎた。なんだこれは????
予備知識が全くない状態(ガロとリオってキャラがいるんだ〜くらい)で行ったんですけど、本当に最高すぎた。キャラデザ含めてキャラが立っているから初見でもすぐに登場人物を覚えられたし、展開もサクサクで内容が頭に入って来やすかった。なによりアクションシーンがすごかった!!(語彙力) 4DXであのアクションシーンを体験できたのは本当によかった……。めちゃくちゃ楽しかったです。終わるのが惜しい映画に久々に出会った……。
以下、深読みかつ狂人の独り言です。かなり長いです。
ガロについて
ガロはよくいるようなバカキャラなんだけど、(気分害したらすみません……)、その感情の流れにきちんと共感できたので、行動の原理がわからずにイライラすることがなかった。理性が少ないだけで、思考の流れはまともかつマジョリティなんですよね、彼は。だから火事を起こすバーニッシュを当たり前のように差別するし、自分たちとは別の生き物のように感じている。「バーニッシュは火事を起こすから差別してもいい」という大義名分を手に入れてしまっている。そして恐らく映画の世界の人々の大半がそう思っているであろうことが怖かった。これ現実世界とシンクロさせたらめちゃくちゃ怖くないですか?? ガロはよくも悪くも観客(マジョリティ)の代弁者であったんだと思います。
あと彼の差別意識を象徴しているのが、洞窟の中でリオに言った「その火をつけるのをなんとか我慢できないのか!? 我慢できれば普通の人間と同じなのに」という台詞(意訳)。これにはある種の傲慢ささえ感じてしまった……。なんか鬱病の人に「もっと元気出しなよ、そうすれば鬱病なんて治るでしょ?」みたいな物言いをしてる人みたいに思えてしまった。相手のことを理解してないが故に出る台詞ですよね……。そりゃ言われたリオは怒るわ……。
そんなガロなんですが、たぶん物語終盤でバーニッシュのことをある程度理解した後でも、彼の差別意識は根本では変わってないと思うんですよね。ただリオという人間への好意とクレイへの反発心でああいった行動をしているだけで。もちろん彼の中でバーニッシュに対する共感や同情が生まれてることは確かだと思うんですけど、根本的な価値観の修正はされていない気がする。差別(攻撃)の対象がクレイ個人に移っただけという印象でした。でもガロが完璧な人間じゃないからこそ、この映画の主人公になり得るんだと思います。
正義感が強くて自分に絶対的な自信があるからこそ、ある意味盲目的な(まっすぐな)行動をしてしまう所がガロの短所かつ長所なんだろうなあと思いました。
リオについて
君の生育環境が知りたい!! まとめるとこの一言に尽きます。あの年齢(恐らく10代?)にしてあの判断力と思考力と哲学……。一体どんな環境ならあんな性格になるのか本当に知りたい。リオ編やガロ編は観ていないんですが、この辺り描写されるのかな?
ここからは私の妄想なんですけど、恐らくリオはある程度高度な教育を受けてきていると思うんですよね。そしてそこで思考力や哲学を学んだんだと思います。保護者からはかなり愛情を注いでもらっていたんじゃないかな?教養もそうだし、(バーニッシュならばという前提ではあるが)人を信じる素直さもあるし。荒れた生育環境ならもっと性格が歪んでると思うんです。彼が生まれたのはバーニッシュの存在が世間に知られた後。そんなバーニッシュにとって逆境の中で、愛情を注いであげられた保護者がすごい……。そしてそんな保護者が既に亡くなっているであろうことが辛い……。
今作品1番の推しです。声、顔、体格すべてが良すぎる。というか最近ヒプマイの白膠木簓にどハマりしてるし、私は細目が性癖なのかもしれない……。
そしてこの物語の中で1番悲しい人だと思う……。たぶん彼はバーニッシュにならなければ真っ当なヒーローになれた人なんですよね……。バーニッシュの力が暴走してしまった後、偶然にもガロを救ったことで「バーニッシュであっても迫害されない為には、この道を突き進むしかない」と思ってしまったのではないかな。そして人々に賞賛されるのを目標とする道に迷い込んでしまった。だから彼はデウス博士を殺しその研究を奪って、バーニッシュを管理して最終的に方舟を作った。方舟が向かう惑星は彼にとって楽園になるであろう土地だった。周りにヒーローと讃えられ、憎きバーニッシュのいない世界。彼は本当に自分の中の「バーニッシュ」という属性が大嫌いだったんだろうな……。それが作中の「私はバーニッシュの衝動には負けない。他のバーニッシュとは違う」という台詞(うろ覚え)に表れていると思います。
でもすごい悲しいんだけど、個人的には結局クレイはバーニッシュの「すべてを燃やしたい」という衝動からは逃れられてはいなかったんじゃないかな……と思います。劇中でもちょくちょく言われていたんですけれど、「本当は本気を出せばクレイはマグマの暴走を抑えられたのでは?」という疑問があって(プロメアの存在を知ってしまうとそれは根本解決とはならないんですが)。ガロやリオにそれを問われる度に彼は「マグマまで到達できる装備を揃えられないから」などと言って「できない」と否定するんですが、あれだけの宇宙船やエンジン、戦闘装備を準備できた人が言うにはちょっと説得力がない気がして。個人的に彼は「地球を燃やすこと」前提で動いていたと思うんですよね。マグマの暴走を止めることはハナから考えていなかった。きっと彼も共鳴するプロメアの思考から「マグマの暴走は止められない」と察していて、「ならば地球は燃えるしかない」とプロメアの本能を受容していたんではないかな。装備の都合ではなく、あくまでプロメアの思考によって彼はマグマの抑制を断念していた気がします。彼自身が積極的に火をつけることはなかったけれど、プロメアが地球を燃やすことは黙認・傍観していた(それどころか時期を早めている)という点において、やはり彼は最終的にはバーニッシュの衝動から解放されてはなかったのでしょう。深読みしすぎな気もするけど……。
あと思ったのが、彼はきっとガロのことを目障りに思いながらも羨んでいたんだろうなということ。愚直で、幸せそうに生きていて、人々のヒーローになれて、なによりバーニッシュではない。彼がガロをバーニッシュレスキューに推薦したのはもちろん言っていたように「死亡率が高い」ことも理由のひとつではあるけれど、心の奥で「お前ごときに何が出来る。なれるものならヒーローになってみろ!」という対抗意識みたいなものもあったんじゃないかな。そしたらガロはまんまとヒーローになって勲章を授与されるし、挙句の果てにクレイが掲げる正義も否定する。そう考えたら、彼が長年保護する振りをしてきたガロをあの場面で拘束したのも納得できました。(本当にガロが目障りだったらもっと早い段階で排除できたと思っていた。)きっとあの場面で、自分の正義を否定されたことで堪忍袋の緒が切れたんだと思います。クレイはガロに対してはめちゃめちゃデカい感情を持っていると私が嬉しい。
あと個人的に思うのが、クレイ絶対友達いないよね……ということ。たぶん意図的に作っていないのもあると思うんだけど。本当の自分を隠して生きていたから作りようがなかったんじゃないかな。
彼自身は自分の人生をどう捉えているんだろうか。本来の自分を隠して隠して殺人まで犯して努力し続けたのにヒーローにはなれなくて。彼の人生は本当に悲しい。他人を踏みにじった彼の罪は消えないけれど、彼には本当に幸せになって欲しいです。
このプロメアという映画はガロの成長記でもあり、リオたちの解放の物語でもあり、クレイの人生の記録でもあるのだと思います。
その他心の琴線に触れた場面とか疑問とか
・象徴的に図形を使っているのが面白くわかり易かった。(バーニッシュ→三角形、バーニッシュに相対する氷など→四角形)
・物語の最初、バーニッシュが初めて暴走する場面で目や口から炎が出てるのはなんでなんだろうか。コントロールができるようになると手から炎が出せるようになるのか。
・というかあの世界の物理法則(技術法則)が知りたい……。リオの戦闘衣装とかどうなってるのあれ。
・バーニッシュレスキューの中だと隊長とレミーくんが好きです。
・アイナ、エリス姉妹の関係性もなかなか気になる。姉の妹に対するあの執着心はどこで形成されたのか? この姉妹も両親既に亡くしてそうだな……。
・マッドバーニッシュの幹部の2人可愛くて好き。
・プロメテックエンジンを起動したときのバーニッシュ達の断末魔にマジで鳥肌たった。怖すぎる。
・暴走するリオが炎の龍となったのを見たガロのセリフ、「泣いているのか?」が本当にしんどかった。